ますます大丈夫?九大

以前のエントリで、婚学の佐藤剛史氏のインタビュー記事が統一教会系の団体が発行する雑誌に掲載されていたことを書いた。

その後、山口智美(id:yamtom)さんのtwitterで、10月に統一教会系イベントで講師までつとめていたことを教えていただく。

https://twitter.com/yamtom/status/666835114588921857

まあ、あれだよね。男女ペア組ませてどうこうって、そういえば合同結婚式と似てる気もするよね(適当)。


そういえば、佐藤氏も講演等でよくネタにしているという「はなちゃんのみそ汁」の映画が公開されるそうですが、先日近所のスーパーにタイアップ商品らしい「はなちゃんのみそ」という商品が売られていてドン引きしたことをお伝えしておきます。

朝日新聞「学びを語る」に男女脳

  • 男性脳」「女性脳」は存在しない?:英国の研究結果(WIRED.jp)

6,000件を超えるsMRI画像をメタ分析した結果、海馬や脳梁の大きさ、言語処理の方法など、これまで「男性脳」「女性脳」の根拠とされてきた脳の性差は実際には存在しないことが判明した。

という記事がWIRED.jpに掲載された本日(WORED.co.ukでは10/30に発表されているが)、朝日新聞朝刊の「学びを語る」というコーナーでは、黒川伊保子氏の「思春期の子との会話 混乱受け止め、支えてあげて」という文章が掲載されていた。

母親の場合、女の子とは早いうちから女友達として接するといいです。「これ食べなさいよ」じゃなくて「髪にいいらしいよ、食べてみない?」とか。4歳で立派な女性脳になるので、自尊心が育って母親を大切にするようになります。男の子には憧れ目線で接するのが手。「片付けなさい」という注意でなく、「こんなの、男として格好悪いよ」という言い方がいいと思います。「憧れの男子」として扱うと、男の子は頑張ります。

「合コンさしすせそ」か。

うちの場合、子に「片付けないと、男として格好悪いよ」なんていっても全く効かない自信がある。いや、もしかしたら「お母さんがおかしくなった」と気味悪がって片付け出すことはあるかもしれない。試してみないけど。

第4次男女共同参画基本計画案(パブコメその後)

内閣府男女共同参画局のサイトに、計画策定専門調査会の議事資料が掲載されていた。パブリックコメント及び各地での公聴会を受けての修正案ということになると思うわけだが、男女共同参画局はまず、男女共同参画会議や専門調査会の会議の資料がアップされた時にはトップページの新着情報に掲載しようや。わざわざ「トップページ→審議会・会議等→専門調査会→計画策定専門調査会→開催状況及び会議資料」と掘って掘ってまた掘らないとたどり着けないのってどうよ。
そして、10月26日に行われた会議の会議資料として、「公聴会及び意見募集の結果(集計)」「公聴会及び意見募集の結果(意見の概要)」「第4次男女共同参画基本計画策定に当たっての基本的な考え方(案)」が掲載されているのだが、まず「意見の概要」をざっと見て思ったのは、「福岡会場ではあからさまなアンチはいなかったが、他会場ではアンチジェンフリ系の人もいたようだ」「福岡で出た意見を探してみた感じでは、1人の発言者が複数の論点について発言していても、1つの論点のみ取り上げられているようだ」といったこと。
そして、「意見の概要」を見ながら「基本的な考え方(案)」をざっと読んでみた感じでは、全国で公聴会を開き、またメール等でもたくさんの意見が送られたと思われる割に、新たに出された案の多くは細かい文言や「てにおは」の修正にとどまっているという印象。ところどころ、意見が取り入れられていると明確に分かる部分はあるものの、例えば健康分野での「妊娠・出産に偏りすぎでは。健康問題が起きやすい更年期・老年期の内容が薄いのでは」といった指摘に対してか、老年期について1項目追加されたものの、活動期・出産期等にも項目が追加されており、バランスの修正はなされていないなど。
もちろん、すべての意見を取り入れるのは不可能だしそうする必要があるとも思わないが、複数の同様意見が寄せられている項目に関しても多くがスルーされていることを考えると、各地で行われた公聴会もアリバイ作り程度の意味しか持たなかったのではないかと思われてもしょうがないんじゃないか、というぐらいの修正案という感想。
ちなみに福岡会場での婚学関連の人の婚学思想丸出し発言は、婚学思想部分を抜いた形で掲載されていたよ。

組体操問題 その3

福岡市のHPには「寄せられた市民の声」というコーナーがあり、市民からの質問や要望とそれに対する担当課の回答が掲載されている。

そのコーナーに先日、「中学校体育祭の組体操について」という質問と回答が掲載されていた。まず、質問は下の通り。

中学の体育祭で男子全員による組体操があります。
男子生徒らしい力強い演技に感動する一方で,保護者としては心配でなりません。
特に全員によるピラミッドはとても不安です。
先日も大阪の中学でピラミッドが崩れけが人が出たとの報道がありました。
福岡市でも高さ制限を設ける措置を取るべきだと思います。
重大な事故に繋がる恐れがあります。
ぜひ検討してください。

それに対する市教委(指導部学校指導課)の回答は次のようなものである。

 運動会・体育大会における組体操の事故防止につきましては,今年4月に全学校長・園長に対して,段階的な練習や十分な練習期間を設定し,子どもたちの実態以上に難易度の高い競技や演技内容にならないよう配慮すること,1つのピラミッド等に対して前後,左右,斜め等,複数の補助者を必ず配置すること,参観者が安心できる競技,演技,ルール,補助者等を設定することを通知し,子どもたちの安全確保に十分努めるよう指導しております。
 なお,ピラミッドの高さにつきましては,子どもたちや環境の実態に応じ,各学校で子どもたちの安全確保を最優先として決定するようにしております。
 今後も,子どもたちに事故がなく,そして心に残る運動会・体育大会になるよう,各学校を指導してまいります。

まず、質問者が例に挙げている大阪での事故映像を見れば、当該の中学校においてもピラミッドの周辺に複数の補助者が配置されていたこと、そしてピラミッドが崩れた際にそれら補助者の存在がなんら役に立たなかったことが分かるはずである。また、「子どもたちの実態以上に難易度の高い競技や演技内容にならないよう配慮する」「参観者が安心できる競技,演技,ルール,補助者等を設定する」「ピラミッドの高さについては,子どもたちや環境の実態に応じ,各学校で子どもたちの安全確保を最優先として決定する」等とあるが、それが具体的にどのような手順でどのように決定されるべきだと考えているかは全く不透明だ。ちなみに我が子が通う中学では、男子組体操での演技に関して生徒や保護者の意見が聴取されたという話も聞かないし、学校だより等において「市教委からこういう指導があったがこれこれこういう理由でこのような演技内容になった」等の説明もなかった。
近年、ネット上だけではなくマスメディア、それも全国紙やキー局の番組等の主要なマスメディアで組体操の危険性が取り上げられ、全国的に事故が起きている実態も明らかにされているにもかかわらず、上記のような回答や対応はそれをきちんと受け止めているとはとても思えず、今後も(半裸での演技を含め)「従来通り」を続けるつもりでしかないのだろうと絶望的な気持ちになるのねん。

組体操問題 その2

大阪の中学校の組体操で(練習でも1度も成功しなかったという)10段ピラミッドが崩れ、生徒が重傷を負ったという件について、今朝のワイドショーでも映像が放映されていた。

テレビでも取り上げられたことで、小中高校の運動会・体育祭において組体操を実施すべきかどうかについてもっと議論になるといいなと思ったものの、今朝の朝日新聞地域面(福岡版)では、「小さな目」という子どもの詩を掲載するコーナーで小学6年生のこんな詩が掲載された

「歯を食いしばった5段タワー」


  僕はタワーの一番下だ
  どんどん人が上がっていく
  人の重みがかかってきた
  一段目が上がりだした
  二段、三段と上がって
  完成の笛が鳴った

  「ピピーッ」
  観客から拍手をもらった
  歯を食いしばった
  石がひざにくいこんできた
  成功した
  心の中で喜んだ
 「元にもどるまでが技だ」
  うれしくて
  こぶしを上げたかった
  笑顔で終われた

最初、5段ピラミッドと勘違いし、「まー、小学生なんだからせいぜいそのぐらいだよね」と思ったが、ピラミッドではなくタワーだった。うちの子の小学校はたぶん3段だったと思うのだが、正直それでもハラハラするのに、5段タワーだった。画像を検索してみると、かなりの高さになる。
また、内田良さんの書かれた記事によると、タワーはピラミッドよりもさらに危険(事故が多い)らしい。

この詩を書いた子の達成感を否定する気はない。練習も頑張っただろうし、成功して嬉しかっただろう。
でも、その成功と紙一重で重大な事故が起きたかもしれない。さらに、テレビや新聞等のマスメディアにおいて組体操の危険性が取り上げられるようになり、朝日新聞においてもその問題性を(主要なマスメデイアとしてはおそらく比較的早い段階で)取り上げていたにもかかわらず、このタイミングでこの詩かよ!という気持ちにはなる。

前のエントリでも書いたが、福岡県は組体操の事故での訴訟が過去に複数起こっている。そして、事故を受けてピラミッドの段数等にも制限が設けられているらしい(とはいえ、危険性がない段数ではないし、学校によっては「制限を越えての演技の許可を得た」と学校関係者が誇らしげに語り、制限を超える演技を実施する学校もあるとも聞く)。こんなことでは、組体操の実施そのものが見送られる日など遥か遠くなのだろうか…。

組体操問題

体育祭の季節。組体操の危険性がようやく取り上げられるようになってきた昨今。うちの子が今年入学した中学でも、2、3年生の男子が組体操(女子はダンス)をすることになっている(内容の危険度については、今年の体育祭ではPTAの係の仕事をしていてほとんど見ていないため分からず)。

そして、うちの子は来年以降組体操をするのが嫌だという。なぜかというと、上半身裸でやらないといけないから。そう、どういうわけか組体操の際は上半身裸。半裸。これってよくあることなんでしょうか? 先日ピラミッドが崩れて重傷の生徒が出た大阪の学校は半裸ではなかったようだけど。googleで画像検索してみると、福岡の中学・高校がやたら引っかかる気がする(他県もあるようだけど)。ちなみに自分の高校時代は男子はやはり半裸で「エッサッサ」をやらされていた。中学の体育祭に関しては驚くほど記憶がない。

で、うちの子の場合は「地面に崩れたりしないといけないのに裸では痛そう。ケガしたらどうするの!」と、主に皮膚のケガおよび痛みを気にしてのことらしい。しかし、セクマイの子や体に傷がある子、またそのような事情がなくても人前で半裸になるのが嫌な子だっているだろう。特に、セクマイの子への配慮については今年4月に文科省が全国の学校に通知を出しているはずなのに。

子どもが言うには、(学年の)体育の先生は反対しているんだけど、校長先生が「学校の伝統だから」と言っているんだと(子ども情報なので、どこまで正確かは分からないが)。

文科省のこともあるし、三者面談の折に担任に「うちの子はこういう事情で嫌だと言っている。また、このような通知も出たが、配慮をしようという話はないのか」とやんわりと聞いてみたら、なんかすっごいキョトンとされた。セクマイの子なんかには、申し出があれば対応するというような感じのことを言っていたんだけれど、それって「申し出がない限り配慮しない」ってことだよね。

また、その時担任の先生は「プール(の授業)は?」とうちの子に尋ねていて、見られることよりも痛いのが嫌なうちの子は「それは大丈夫」と答えていたんだけど、痛いのを抜きにしてもプールの授業に関しては学校指定のラッシュガードの着用が認めれられている。それに、プールが大丈夫なんだから組体操の半裸も大丈夫でしょ?ということになると、「女子はスクール水着でダンス」もオッケーになってしまうわけだが。

そして、そのように考えると「男子は上半身裸で組体操」だってやっぱりセクハラになるよなあと思うわけで、やっぱりどうにかしたい今日この頃。ここ最近危険性が取り上げられるようになってきた影響で、組体操自体が見直されればいいが(といっても、半裸で「エッサッサ」をやらされてもよろしくないわけだが)。しかし、福岡県の場合はこれまでに組体操の大事故による裁判が2件起こされて敗訴しているのに、組体操やめてないんだよなあ…。

九大、大丈夫?

久々に「婚学の人」のブログを見てみたら、自身のインタビュー記事を掲載した、ある団体が発行する雑誌のスキャン画像が掲載されていた。

一般社団法人平和政策研究所が発行する「世界と家庭の未来を創るオピニオン情報誌『en-ichi』」だそうで、どう見ても統一教会系の団体です。本当にありがとうございました。

以前、山口智美(id:yamtom)さんが「危惧される「婚学」のゆくえ―安倍政権下の男女共同参画との親和性」という文章を書いておられたが、安倍政権の家族観と統一教会の家族観も非常に親和性が高いわけで、「婚学」が統一教会から好意的に目をつけられるのもある意味当然のことなのかもしれぬ。
しかし、多くの大学と同様、九大でもカルト対策として学生への注意喚起などを行っていることを考えると、あんまり喜ばしいことではないんじゃないかね。

あと、インタビューをざっと読んでみたけれど、相変わらずデータの扱いが雑である。「現在、1年間の婚姻件数67万件、離婚件数23万件です」と書かれてあるが、最も新しい平成 26 年(2014)人口動態統計(確定値)によれば、婚姻件数は約64万4000組、離婚件数は約22万2000組である。過去のデータを確認してみると、一番近いのは2012年1月に発表された2011年の推計値(婚姻件数67万件、離婚件数23万5000組)であり、「婚学」と称する授業を始めたのが2012年春だから、この頃からデータがアップデートされていないのだろう。統計データ、調査データに言及するときには、入手可能な限り最新データを参照するのが研究者の態度として当然だと思うのだが。
そのくせインタビューでは「中高生の時期に必要なことは、ロールプレイなどではなく、まず正しい知識を身につけることです。例えば、『加齢に伴う妊孕力の低下』とか『離婚したシングル家庭の貧困率はどれくらいか』とかです。そうした知識、情報を身につけておいて、その上で自分で選択していく力を少しずつ身につけていかなければならないと考えています。正しい知識、情報がなければ、判断すらできません。」などといっているのだから、「正しい知識、情報」の程度もしれたものである。古いデータを「正しい知識、情報」として教えられる九大の学生さん、大丈夫?