子どもとジェンダー

息子は華やかなものが好きらしい。特に同一化の対象として。保育園でディズニーのビデオを観ては「○くんシンデレラ。お母さん王子様」「○くんベルね。お母さんガストン」と言ったり、戦隊モノでは必ず女性キャラを選択していた。ちなみに女性が2人いる場合は、髪が長い等いわゆる「より女らしい」風貌のキャラを選んでいた(プリキュアならホワイトやイーグレット)。選んで何をするかといえば「シンデレラ、ご飯食べるよー」など、呼び方が変わるだけなのだが(一時期は「麗ちゃん見て〜、電車よ〜」「そうだね〜芳香ちゃん」というのが我が家のマジレンジャーごっこだった)。
そんな息子が最近こんなことを言うようになった。
「○くんはデカレッド。お母さんは?」
「うーん、じゃあデカブレイク
「ダメ!お母さんは女だからデカピンク!」
とか
「ボウケンピンク、かっこいいねー」
「ボウケンピンクはねぇ、かっこいいじゃないと。かわいいと!」
とか。
おそらく保育園でのやりとりの中で身につけてきたのだろう。男だから男キャラ、女だから女キャラを選ばなければいけない、ということだけでなく、男に対しては「かっこいい」、女には「かわいい」と言わなければ(感じなければ?)ならないということまで学んでいる(通常変身後のボウケンピンクを「かわいい」とは表現しないだろう。2歳過ぎぐらいまでヒーロー系は片っ端から怖がっていた息子だし)。人間ってこんな風にジェンダー化されていくのだろうなあと興味深い。
以前のエントリとのからみでいうと、もしも親が息子も娘もまったく同じように育てることができると仮定しても、子どもは親とだけ接して育つわけじゃなくて、祖父母や近所の人、保育園の先生や友だち、マスメディアなど多くの人(モノ)に囲まれて成長していく。パッと見では性別が分からないような赤ちゃんの頃から、外を歩いていると「男の子?女の子?」と声をかけられ、たまたまピンクの服でも着ていれば「あら〜男の子なのに」と言われるし、メディアではまだまだ男女のステレオタイプが描かれている。シンデレラと同一化したがる息子には「微妙ですね(笑)」という先生の言葉や「○くんおもしろい〜」といった友だちの反応が向けられる(まあ保育園の英語の時間に「My name is Cinderella!」と張り切って言ったせいもあるのだろうがorz。でもこういうピアプレッシャーの影響って大きいような気がする)。親がどう接しようとも、こうした中でその社会のジェンダーを学んでいかざるを得ないんだろうなあ。


とはいえあこがれは簡単には捨てられないらしく、ちょっと気を抜くと「○くん頭巾ちゃん」などと口にしてしまう息子なのであった。