デビューボの洗面器

今週の『バックラッシュ!』発売記念キャンペーン「デビューボの泉」林道義さんの『家族を蔑む人々』が取り上げられていますが、『不正の復権』じゃなかった『父性の復権』に次のようなことが書かれてあります。

母に対するときと、父に対するときとでは、子どもの心の状態はまるで違っている。母に抱かれている子どもは穏やかな顔をしてリラックスしている(図2上)が、父が近づくとまだ一歳未満の幼児でさえ、顔は輝き、目は大きく開かれ、口は物言いたそうに動き、手を前にだしてさも遊んで欲しいといわんばかりである(図2下)(P.33-34)。

この文章とともに「母親に抱かれて安らぐときの表情」「父親が相手をしているときの表情」という2枚の写真が掲載されているわけですが、私の息子が乳児の時に散々「顔は輝き、目は大きく開かれ、口は物言いたそうに動き、手を前にだしてさも遊んで欲しいといわんばかり」のの表情を私に向けてきた気がするのは気のせいですね、きっと。「抱かれているとき」と「床に座らせて遊ぼうと手をかけているとき」では表情が違うのは当然ではないか、とか、写真というのは一瞬の表情を切り取ったものではないか、とかいうのは考え過ぎですよね、きっと。


ちなみにこの本ではアドルノの「権威主義的パーソナリティ」の特徴について紹介がされていて、それらの特徴がオウム真理教の信者のそれと酷似しているということが指摘されています(p.133-134)。

(1)因襲主義。慣習化した中産階級的諸価値に対する固着。
(2)権威主義的従属。集団内部の理想化された道徳的権威への、追従的、無批判的態度。
(3)権威主義的攻撃。慣習化した諸価値に違反する人々を見つけ出し、これを非難し、排除し、処罰しようとする傾向。
(4)反内省的態度。主体性、想像力および柔軟な精神に対する敵対。
(5)迷信とステレオタイプ。個人の運命に関する神秘的な規定への信仰。固定したカテゴリーで思考する傾向。
(6)権力と「剛直」。支配−従属、強者−弱者、指導者−信仰者の平面での先入観。権力者への自己同一化。自我の因習的な属性を過度に強調すること。権力と剛直を過度に主張すること。
(7)破壊性とシニシズム。人間的なものへの一般化された敵対と悪意。
(8)投影。粗野で危険なものが世界に増大しつつあると信じ込む傾向。無意識の情動的な衝動を外部に投影すること。
(9)性。性的な「行為」への誇張された関心。

あれ?でもこういう人たちってもっと別なところでみたことがあるような…というか最近よく目にするような気が…どこだったっけなぁ、うーん、うーん…。