山谷さんからネタ投下

「子どもに有害、家族を破壊」山谷議員が思春期学会で性教育を非難

講演の紹介記事なので本人の発言をどの程度正確に表現しているかは留保が必要ですが、突っ込み開始。

「私は出身が新聞記者なので,まず全国の実態を知ることが大切と考えた」

「WHOは中学生の(思春期の、10代の、などのバリエーションあり)ピルの服用を禁止している」というデマをあちこちで流していた元新聞記者議員がいたような気がしますが、気のせいですね。

1つは日米中韓の4カ国の若者を対象としたセックス観調査。「結婚までセックスをしないほうがいい」という設問に「はい」という回答は,日本では29%。アメリカは56%,中韓は80%だった。

なるほど、するとお手本にすべきは中韓性教育ですね。

 この結果は,一部の性教育でよく言われる「性的自己決定権」の影響なのか,あるいは日本社会の性情報の氾濫に原因するのかと山谷さん自ら問い,別の調査結果の説明に移った。
 警視庁の調査(注1)によると「見知らぬ人とのセックス」について,「本人の自由」とする中高生の回答は68%。また「お金をもらうのも本人の自由」とするのが45%だった。このように,日本の若者のセックス観は,一部の性教育が主張する「性的自己決定権」によって導かれていると山谷さんは結論づける。

さすがもと新聞記者、ものすごい力技です。この調査からどうやって「性情報の氾濫が原因ではなく性的自己決定権のせい」という結論が出てくるのかまったく謎ですし、そもそも「結婚前のセックス」についての意識を「見知らぬ人とのセックス/売春」についての意識で説明しようとしているのがもう意味不明なのですが、自信をもって断言しています。ちなみにこの調査(結果の利用)に関してはこちらのエントリで突っ込み済みです。そもそも「本人の自由」なんて考え方は性教育だけで学ぶものなのでしょうか(というか、「性的自己決定権=本人の自由」ではないわけですが)。もしかしたら「個人の心の問題」といって靖国参拝する某国の首相の影響なんてのもあるかもしれませんよ。

性教育をするなというバッシングが起きている,と受け止めるのは間違いだ。私は性教育に反対していない。私は子どもの年齢にふさわしくない,親の理解が得られない,そういう性教育をやめてほしいと言ってるだけだ」。

ということですが、包括的性教育に反対する人からそれでは「具体的に」どういう性教育のあり方が望ましいかという提案が出ることはあまりないように思います。大方は「アメリカでは禁欲教育が効果をあげている」とか、この講演の中で山谷さんも言っているように「(アメリカ肝いりの)ウガンダのABCアプローチが効果をあげている」とかいう話に終止しているように思います。とはいえアメリカの10代の妊娠・出産・中絶は政府が禁欲教育に本格的に力を入れる90年代半ば以前から低下していますし、そもそもアメリカの10代のの妊娠・出産・中絶率は先進国では群を抜いて高い、ということを考慮しなければなりません。このデータを見る限り、アメリカよりもオランダやドイツの性教育から学んだ方がいいんでないの?と思ったりするわけですが。あ、いや、中韓か。

「なぜリアルな性教育をして親がこんなに怒るのか。それは性教育によって親子関係が破壊されるからだ。こうしたことにご配慮をいただきたい」。

性教育で破壊されるぐらいの親子関係なんてそもそもモニョモニョ…。リアルがダメなら、よーしこれからはバーチャルな性教育だ!でもね、はっきり言うけど、バーチャルリアリティは悪よ!