調査結果は正しく使いましょうったら

教師悲鳴「つぶされる」 理不尽な保護者らのクレーム(産経新聞)

文科省の委託で昨年7〜12月に行われた教員勤務実態調査によると、全国の公立小学校教員の75%と中学校教員の71%が、「保護者や地域住民への対応が増えた」と感じていた。「授業の準備時間が足りない」と支障を訴える教員も、小学校で78%、中学校で72%に上った。

この文章だとまるで、保護者等への対応が増えたことで授業の準備等の業務に支障を来しているかのように読めます。しかし、ここで言及されている調査の設問はこのようになっています。

あなたは次のようなことをどのくらい感じますか。
1 教員の仕事はやりがいがある
2 仕事に追われて生活のゆとりがない
3 授業の準備をする時間が足りない
4 生活指導が必要な児童生徒が増えた
5 保護者や地域住民への対応が増えた
(以下略)

つまり、それぞれの質問は個別に行われているのであって、授業準備の時間が足りないのは保護者等への対応が増えたからとは限りません。3と5の回答をクロスして保護者対応の負担感と準備時間の不足感との関連をみることはできそうですが、そのような分析をした様子もありませんし。
もちろん理不尽な要求をしてくる保護者というのはいるのだろうし、それに対応しなければならない教員の個人的な負担は大変なものだろうと思いますが、影響の大きさ(ほとんどの教員に関わってくるという意味で)でいえば、授業時間増だとか道徳の教科化だとか全国一斉学力テストの導入だとかによる負担の方がよっぽど大きいのではないかと思うのですが。