秋は気のゆるみに注意?(追記あり)

先ほど車の中でラジオを聞いていると、「性犯罪は肌の露出が多い夏に増えるかと思いきや、秋、9月、10月、11月の方が多いそうです。なぜ? それは気のゆるのせいだろうということです。福岡県警は、秋はコートなどを身に着けるために油断する女性が多いのでは、と見ているようです」なんて話題が(かなり端折って書いてますが)。
なんだと、と思い、記事を検索してみたのですが、去年の記事の様で全文が見れませんでした。ひとまず見出しはこんな感じ。

福岡県警まとめ 日暮れ早く帰宅時性犯罪注意(西日本新聞

夏に被害が多いとされる強姦(ごうかん)と強制わいせつの性犯罪が、秋に多発していることが30日、福岡県警の調べで分かった、強姦は10月(19.2件)、強制わいせつは11月(46.8件)が最も多かった。

別の検索結果から、02−06年のデータをもとに上のように発表したらしいと判明。
性犯罪被害の増加を「女性の油断」に帰するような言い方にムカついたので、ていうか9月にコートなんてきねーよ、とか思ったので(ただ、パーソナリティが言い換えた可能性もあるので、県警のコメントがどのようなものだったかは正確には分からないのですが)、ちょっと調べてみることに。
福岡県警の統計資料はヘボヘボで、月別のデータなどがなかったので、警視庁のデータからグラフを作ってみました。かなりいい加減に作ったので間違いがあるかもしれませんが。我ながらヒマだなあ・・・。いや、本当はヒマじゃないんですよ!ですよったら!





これによると、この5年間(福岡と同じ5年ではありませんが)の平均では、6月に強制わいせつが最も多くなっています。福岡の女性は厚着になって気がゆるみ、東京の女性は薄着になって気がゆるむ、ということなんでしょうか。ただ、グラフを見てもらえば分かるように、6、7、10月あたりは年ごとのバラツキが大きすぎて、ここから「傾向」をつかむには無理があるように思います。いわんや要因についてをや。
このグラフからなら「真冬は強制わいせつが減少する傾向がある」ぐらいは言ってもよさそうですが、コートを着て気がゆるむのであれば、むしろ真冬の方が隙だらけになってしまいそうなものですけれども。
結局のところ、理由なんて後からいくらでもつけられるんですよね。たとえばこんなのもあるんです。


侵入犯罪月別発生状況(千葉県警)


平成17年に関しては「8月は暑さのため窓を開けっ放しにするため侵入犯罪が増える」とでも言えそうですし、平成18年は「真夏は冷房を入れることが多いため侵入犯罪が減るが、涼しくなった10月は気のゆるみから窓のしめ忘れが多くなるせいだ」とか言えるかもしれません。
実際、福岡県警小倉北警察署ではこんなチラシが作られています。「薄着の季節は要注意!」だそうです。よくみると3件の違いなんですけども。
もちろん被害に遭わないように気をつけるに越したことはないと思います。でも、本当に犯罪が増える理由を知りたいなら、加害者側の要因をもっと考えた方がいいんじゃないでしょうか。




【追記】
今日の朝日新聞に載ってました>記事。
んで、県警のコメントは「夏は薄着になるので注意する意識が働くが、コートを着始めると油断する女性が多いようだ」だそうで。あと、記事中では9月については言及してませんでしたので、エントリを一部修正。
ただ、細かい数値は分からないんだけれども、02−07年の月別平均のグラフが載っていて、確かに一番認知件数が多いのは10月、11月なんですが、6月から11月はぜんぶ平均で50〜60件の間のようで、あまり違いがないように見えます。また、東京のように、年ごとに違う可能性もありますしね。
「夏が多いと思われがちだけれども、秋からも多いので気をつけましょう」という趣旨は分かるんだけれども。でも上のコメントはやっぱり変よね、と思います。