「カワイイ区」について

福岡市のカワイイ区に対しては、私の周辺限定でいうと評判はよくなかった。「何をやってるのか分からない」「そもそも意味が分からない」「税金使ってやることか」「高島はチャラいことばっかりやりたがる」等々。業務委託の経緯の不透明性がニュースになってからは特に。まあ「カワイイ区」を知らない人もけっこういたけど。

なので今回の流れは「まあそうなるよね」という感じなのだが、ネットでの反応をみると「たった4件の苦情に屈した」的な反応が見られる。しかしこれは誤解で、ここでいう苦情とは単に市に寄せられた否定的意見ということではなく、苦情処理の手続き上の苦情申出書が提出された件数が4件あったということである。

福岡市男女共同参画を推進する条例
第26条 市長は,市が実施する男女共同参画の推進に関する施策又は男女共同参画の推進に影響を及ぼすと認められる施策について,市民等から苦情の申出があった場合は,福岡市男女共同参画審議会の意見を聴いたうえで,必要に応じて,適切な措置を講じるものとする。
2 市長は,前項の申出をした市民等に対し,当該申出に係る意見及び講じた措置の内容を通知しなければならない。

そして今回の対応は、福岡市男女共同参画審議会苦情処理部会が担当課に問い合わせをし、その回答について審議したうえで、事業の見直しを求める答申書案をまとめた(さらに担当課がそれに先んじて篠田麻里子を退任させた)という形である。ちなみに、ちょっと古いが2009年の都道府県・政令指定都市の苦情処理件数が40件とのことだから、4件の苦情処理申立てとは決して少ないとはいえない数字なのである。また、市の担当課の回答をみると、今回の苦情申立て以外にも事業への否定的意見(「委託や特別住民票の郵送サービスなどの契約に関する意見」「芸能界やアイドルの宣伝行為につながる事業は辞めるべきとの意見」「男性優位の姿勢が感じられ、残念との意見」など)が市民から寄せられており、また議会でも批判されていることが分かる。

また、新聞等の記事では「男女差別を助長する」「女性はかわいくあるべきだといった意識を助長する」「『女性はかわいくなければ』というメッセージを発信している」といった苦情が寄せられたという書き方がほとんどなのだが、実際の苦情申出書をみると、いずれも税金を使って行政がこのような行うことに対して苦情の申立てが行われたものだ。

個人的には男女共同参画の観点からはもちろん(こんな苦情批判が出ることは予想できそうなものだが、担当課は男女共同参画課に事前に問い合わせもしていなかったらしい)、経費削減のためにNPOにタダ働きを求める一方で(あと、市とNPOの共働事業はお金は出されるけど選考プレゼン、中間報告、最終報告をすべて公開でやらされ事業評価もされる)、こんな効果も不明な事業をきちんとした手続きも踏まず委託という形で行うなんて、脇が甘いという他ないよねと思うわけですよ。