九大、大丈夫?

久々に「婚学の人」のブログを見てみたら、自身のインタビュー記事を掲載した、ある団体が発行する雑誌のスキャン画像が掲載されていた。

一般社団法人平和政策研究所が発行する「世界と家庭の未来を創るオピニオン情報誌『en-ichi』」だそうで、どう見ても統一教会系の団体です。本当にありがとうございました。

以前、山口智美(id:yamtom)さんが「危惧される「婚学」のゆくえ―安倍政権下の男女共同参画との親和性」という文章を書いておられたが、安倍政権の家族観と統一教会の家族観も非常に親和性が高いわけで、「婚学」が統一教会から好意的に目をつけられるのもある意味当然のことなのかもしれぬ。
しかし、多くの大学と同様、九大でもカルト対策として学生への注意喚起などを行っていることを考えると、あんまり喜ばしいことではないんじゃないかね。

あと、インタビューをざっと読んでみたけれど、相変わらずデータの扱いが雑である。「現在、1年間の婚姻件数67万件、離婚件数23万件です」と書かれてあるが、最も新しい平成 26 年(2014)人口動態統計(確定値)によれば、婚姻件数は約64万4000組、離婚件数は約22万2000組である。過去のデータを確認してみると、一番近いのは2012年1月に発表された2011年の推計値(婚姻件数67万件、離婚件数23万5000組)であり、「婚学」と称する授業を始めたのが2012年春だから、この頃からデータがアップデートされていないのだろう。統計データ、調査データに言及するときには、入手可能な限り最新データを参照するのが研究者の態度として当然だと思うのだが。
そのくせインタビューでは「中高生の時期に必要なことは、ロールプレイなどではなく、まず正しい知識を身につけることです。例えば、『加齢に伴う妊孕力の低下』とか『離婚したシングル家庭の貧困率はどれくらいか』とかです。そうした知識、情報を身につけておいて、その上で自分で選択していく力を少しずつ身につけていかなければならないと考えています。正しい知識、情報がなければ、判断すらできません。」などといっているのだから、「正しい知識、情報」の程度もしれたものである。古いデータを「正しい知識、情報」として教えられる九大の学生さん、大丈夫?