福岡の女性活躍推進は…

先日、「『日本死ね、言っている場合じゃない』 自民・稲田氏(朝日新聞7/4)」と報じられた稲田朋美自民党政調会長

日本はGDPの200%もの借金を抱える借金大国。あれせえ、これせえ、と言ったってできない。あれかこれか、優先順位を付けてしかできない。それを、あれしてくれなきゃ活躍できない、これしてくれなきゃ活躍できない、国はあれもこれもどれもこれも、やれと。それもできないなら日本死ね、なんて言っている場合じゃないんだと思う。
 みんなでこの国をよくする運動が1億総活躍社会ですね。私たちは、国だけに任せるんじゃなく、自分だけが幸せだけじゃなく、みんなが幸せで初めて幸せだと感じられる民族だ。(札幌市での講演で)

9年前には「男女共同参画基本法は根本から見直せ」という記事のなかで「女性の割合を上げるために能力が劣っていても登用するなどというのはクレージー以外の何ものでもない」などと書いていた稲田政調会長。しかし、自民党女性活躍推進本部長に任命された際に「子育て中の方や独身女性の声も吸い上げていくよう努めたい」などと述べていたようだが、ここにきて本音が出た感じ。

ところが、私が住む福岡県において2013年に発足した女性の大活躍推進福岡県会議では、8月に開催する年次大会で稲田朋美自民党政調会長が来賓記念講演を行うという。

閣僚ならまだしも、自民党政調会長の肩書での来賓講演というのは非常にバランスが悪いように思うのだが、そんなためらいがないところにこの会議のヤバさを感じる(ちなみにチラシ裏面のプロフィールの場違い感がすごいよ!)。
しかも、参院選前の6月29日というタイミングで福岡県の男女共同参画センターのサイトにお知らせが掲載されるって、あすばる大丈夫なのかこれ。一方、主催であるはずの女性の大活躍推進福岡県会議のサイトには掲載されていない模様。

ちなみに、女性の大活躍推進福岡県会議の共同代表を務める松尾新吾氏(九州経済連合会名誉会長・元九州電力会長)は、日本会議福岡の現会長であるよ。ますますヤバさしかねぇな、福岡。

「家族の日」

山口智美(id:yamtom)さんのTwitterで、内閣府の「家族の日」の作品コンクール募集の話が紹介されていた。

内閣府の「家族の日」関連事業。家族や地域の大切さに関する作品コンクール。子育て家族の絆、子育てを応援する地域の力について写真や手紙、メール募集するらしい。こうやって推進されていく「家族の絆」概念。自民党24条改憲案とのつながりを思う。http://www8.cao.go.jp/shoushi/shoushika/family/contest/h28/youkou.html

この「家族の日」や写真、手紙、メールの作品コンクールは、「少子化対策」の一環であるようだが、効果はいちじるしく疑わしいな。税金の無駄系啓発事業ではないのかと。

実はこの「家族の日」、昨年末に閣議決定された第4次男女共同参画基本計画でもやたらと具体的に記述されている。

99ページの「第10分野 教育・メディア等を通じた意識改革、理解の促進/3 男女共同参画を推進し多様な選択を可能にする教育・学習の充実/ア 男女平等を推進する教育・学習」の中に、「(7) 結婚、妊娠、子供、子育てに温かい社会の実現に向け、「家族の日」(11月 の第3日曜日)や「家族の週間」(家族の日の前後1週間)において、様々な啓発活動を展開し、家族や地域の大切さ等についての理解の促進を図る。」と書かれている。多様なな選択…? 男女平等を推進…?

上記の項目については、男女共同参画の計画の中に「家族の日」がやたらと具体的に記載されているのに違和感がすごくあったので、第4次計画のパブコメで意見をしたところでもある。採用されなかったが。

ちなみに「男女共同参画週間」についての記述はこんな感じ。

(1)女性に対する暴力の予防と根絶に向けて、「女性に対する暴力をなくす運動」を国民運動として一層推進するほか、「男女共同参画週間」、 「人権週間」等を通じて、広く国民に対する意識啓発のための活動を 行う。これらの取組に当たっては、官民が連携した広報活動を実施する。
(64ページ「第7分野 女性に対するあらゆる暴力の根絶/1 女性に対する暴力の予防と根絶のための基盤づくり/ア 女性に対する暴力を容認しない社会環境の整備」)

(4)「男女共同参画週間」、「行政相談週間」、「人権週間」、「農山漁村女性の日」等多様な機会、多様なメディアを通じて情報を発信する。
(97ページ「第10分野 教育・メディア等を通じた意識改革、理解の促進/1 国民的広がりを持った広報・啓発活動の展開/ア 男女共同参画に大きな影響を有する団体と連携した戦略的な広報・啓発の推進」)

明らかにその具体性に差があるよな。

企業戦士と妻への評価

Twitterで、お弁当が冷凍食品ばかりでごめんと夫に言うと、企業努力の結晶が愛情のこもってないものとは思わないとの名言をいただいた、というツイートを読んで思い出したこと。

たぶんもう15年ぐらい前の新聞の投書欄(たぶん地方版だったと思う)のとある男性の投稿で、「小腹が空いたので、キッチンでインスタントラーメンを作っていた。茹で上がるのを待っていたら火を止める前に添付のスープを妻が入れてしまった。火を止めた後にスープを入れるよう袋に書いてあると妻に文句をいうと、「いいじゃない、どっちでも同じでしょ」と。その投稿は、「インスタントラーメンを最もおいしく食べるために火を止めた後にスープを入れるという手順を編み出した開発者に企業戦士たる自分は痛く共感するのであるが、専業主婦の妻には分からないのであろう」といった言葉で締めくくられていた。

どちらも同じように商品開発をしたメーカーの社員にシンパシーを抱いているのに、妻への態度の印象がずいぶん違うなーという新鮮な驚きがあった。ラーメン夫は表示通りの手順を妻が守らなかったことが不服なのであって、もし妻が袋に記載された手順通りに作ったラーメンを「インスタントでごめんね」と出せば、「企業戦士が最もおいしく食べられるように考え開発したラーメンだから何の問題ない」と回答した可能性も考えられなくもない。が、そもそもなぜ妻が(わざわざ)スープを入れたのかと考えると、普段の妻の料理に対する夫の態度(何を作っても反応がないとか、ラーメンを作っても後片付けはしないとか)がそうさせた部分もあるのではないかとか思うところもあったりする。確認のしようはないわけだが。「会ったこともないよその会社の社員には共感するけど、専業主婦である妻には共感しない人」に感じる冷ややかな感覚みたいな。
まあなんというか、15年も人をモヤモヤさせる新聞投稿ってのもなんかすごいよねーということであろうか(適当)。

ちなみに、その投稿への(後日新聞に掲載された)反応が、女性からの「インスタントラーメンでも、こういう工夫(一緒に別の具を炒めるとか、きざみネギを入れるとか)をすればおいしく食べられますよ」みたいな投書のオンパレードでウンザリした記憶があります。

同じ農林水産省の調査で

20代男性の約2割が1カ月間、コメを食べなかった−−。農林水産省が実施した食生活の調査で、こんな実態が明らかになった。コメ消費の減少は以前から指摘されていたが、今回の調査で若者のコメ離れが際立っていることが鮮明になった。
調査は、和食文化が生活の中でどれだけ実践されているのかを把握し、文化の継承や保護に生かすのが目的。食生活に関する49項目のうち、1カ月以内にどれを実行したかを答えてもらった。

20代男性だと外食や中食の機会も多そうだし、1ヶ月間まったくコメを食べずに過ごすのって結構難易度高そうだけど…。

調査の詳細は農水省のサイトには掲載されていないようで、調査の概要や回答者の内訳、記事で取り上げられた以外の質問内容などは分からない。

代わりに見つけたのが、農水省が毎年行っているらしい「食生活及び農林漁業体験に関する調査」で、この中に「あなた􏰁の食生活􏰁うち、ご飯を食べる頻度についてお答えください」という質問がある。今年3月に発表されている2015年度の調査報告書を見てみると、 20代男性の回答は「ほとんど毎食ご飯を食べている」が52.2%で、すべての年代で最も高い。さらに「1日2食程度ご飯を食べている」30.8%、「1日1食程度ご飯を食べている」14.2%で、毎日ご飯を食べている人が97.2%に上っている。
こっちの調査は「ご飯」という聞き方をしているため、「コメ」ではなく「食事」と誤解された?とも思ったが、「週に何度かご飯を食べている」「ほとんどご飯は食べない」という選択肢が仙人みたいになることからそれも考えにくい。

というわけで、「20代男性の約2割が1カ月間、コメを食べなかった」は眉唾っぽいな、というか、質問の仕方がまずかったりしたんじゃないかという気が。

さて、農水省はどっちの調査結果を今後の施策の参考にするのでしょうか。

保育園問題について

認可保育園に入所できなかった人の叫びが話題となっている。

何なんだよ日本。
一億総活躍社会じゃねーのかよ。
昨日見事に保育園落ちたわ。
どうすんだよ私活躍出来ねーじゃねーか。
子供を産んで子育てして社会に出て働いて税金納めてやるって言ってるのに日本は何が不満なんだ?
何が少子化だよクソ。

そしてそれに対してフローレンスの駒崎さんがブログにこのようなエントリを上げた。

駒崎さんは待機児童が減らない要因について説明した後で、次のように言う。

怒りましょう。僕たちは怒って良い。予算配分は不当だし、このままだと少子化も進行し社会保障も危機になり、それは将来、可愛い我が子たちの生活を直撃するでしょう。

そして怒りを原動力に、行動しましょう。
まず、政府に対しては、保育士給与引き上げのための、予算増額の世論を高めることです。

駒崎さんのエントリにはところどころ「?」と思う部分(例えば「子ども子育て新制度」は本当に「待機児童問題にガチで取り組みますよ、という方策」になっているか?とか、自治体の職員が「評価」を気にして園を増やしたがらないなんてことはそんなにあることなんだろうか?とか)もあるものの、概ね同意である。

その上で、国や自治体だけでなく、企業に対してももっとみんな怒るべきなんじゃないかと思う(もちろん最も怒りたいのは国なんだけどさ)。

自治体の子育てに関するニーズ調査の自由記述欄とか見てると、「始業時間に間に合わないから保育園の開園時間を早くしてほしい」「夏休みの学童保育の開所時間が遅く、子どもが後に出かけなければならず心配だから開所時間を早くしてほしい」「以前住んでいた自治体では◯時まで預かってくれていたのに、◯◯市は延長保育の時間が短い」などの意見が結構目につく(福岡市でも今年度から学校が休みの日の学童の開所時間が早まった)。

でも、保育園や学童保育の預かり時間長くしたら、そこで働く人はそれだけ早く出てこないといけなかったり、遅くまで仕事しないといけなくなる。そうすると、小さな子どもとか親の介護がある人は働きにくくなる。だからといって、早朝や夜間の仕事が独身や子どものいない人にばかり回されると、その人たちの負担が大きくなる。結局それが保育士の離職に拍車をかけることにつながる。

だから、長期休みの間は遅く出勤してもいいとか、そもそも残業なくすとか、もっと職場がやるべきなんだよ、本来は。少子化の解決には女性への支援策だけではだめだ、男性の働き方が変わらないとだめだって流れからの「ワーク・ライフ・バランス」だったり「働き方の見直し」だったのが、いつのまにか「女性活躍」「一億総活躍」に取って代わられてすっかりトーンダウンしてしまったし。

ちなみに福岡では最近WLBがらみで結構取り上げられる拓新産業という会社がある。昔、合同説明会で学生がほとんど来てくれなかったという経験から、選ばれる会社になるために、残業なしをはじめ、いろんな取り組みをしているという。建設機材のリースをしているので、土曜も事務所を開ける必要がある(建設業は土曜休まないところが多いので)けど社員は休ませたい。で、小さい子どもがいる人を除いた社員が交代で月に1日だけ土曜に出勤するようにして、そのかわりに同じ週の水曜に休んでもらうなど、一部の人に負担がかからないようにしているそうだ。取引先にも「うちはこういう会社だ」ということを伝え続けて、「無理な依頼を続ける企業とは取引を断念することもあったが、 徐々に同社の営業スタイルに協力してくれる顧客を増やしていくことに成功」*1したという。本気でやればできることは見つかるってことだと思うんよね。

今の日本は政労使あげて少子化進めようとしてるようにも見えるよね。

「女の敵は女」にしたい人たち

Mr.サンデーベッキーとゲスなんとかの人の話をやっていたわけですが。
そのなかでアンケート調査の結果というのが紹介されていた。サンプル数はそこそこあったようだが、たぶん(ちゃんと見てなかった)インターネット調査で、調査としての信頼性は…といったもの。
調査結果を「未婚女性」「未婚男性」「既婚女性」「既婚男性」に分けて示していたのだが、「今回の件でどちらが悪い?」という質問(この質問自体なんだかなと思うけれども)に対して、「ベッキー」と回答した人が未婚女性で17%、既婚女性で24%、既婚男性で40%という結果(未婚男性については失念したが、未婚女性、既婚女性とそれほど大きな差はなかったと思う)。
それなのに、番組では「ベッキーに同情的な未婚女性に対し、既婚女性は批判的」として、「既婚女性は妻の立場から今回の件を見ているためにベッキーに批判的なるのでは」的なことを。既婚男性の40%は完全にスルー、スルー、スルー。
そもそもの調査の信頼性という問題があるとしても、他の属性と20ポイント前後の差があればそれについて何かを言ってもおかしいとは思われないと思うのだが、それを完全にスルーして7ポイント差を取り上げたのはなぜなのか。
結局、番組を作る側に今回の件を「女vs女」という構図にしたいという思惑があって、その構図にちょっとでも当てはまりそうな数字は全力で拾います!(それ以外の数字は徹底的に無視しますけど)っていうスタンスなんだろうなーとか思ったものでした。

『コウノドリ』最終回、からの…?

いつもならば『サムライ先生』のところなんだけど、先週最終回だったのでザッピング中、「池上彰 VS記者ニュースマニア」?にたまたま行き当たったら、安保法について「国会で野党第1党の民主党の質問は『憲法違反ではないか』という質問ばかりで、法案の内容についての質問がほとんどなかった」みたいなことを言うっていた。

法案自体が憲法違反という立場なら、そもそも細かい内容の是非についてなんて議論しないの当たり前じゃない!? 番組はそのまま別の話に入っていったというか、安倍ちゃんの話につなげていったみたいだし、それまでの流れがよく分からないんだけど、なんかビックリしたよ! 「憲法違反」ってただの枕詞かよ!