保育園問題について

認可保育園に入所できなかった人の叫びが話題となっている。

何なんだよ日本。
一億総活躍社会じゃねーのかよ。
昨日見事に保育園落ちたわ。
どうすんだよ私活躍出来ねーじゃねーか。
子供を産んで子育てして社会に出て働いて税金納めてやるって言ってるのに日本は何が不満なんだ?
何が少子化だよクソ。

そしてそれに対してフローレンスの駒崎さんがブログにこのようなエントリを上げた。

駒崎さんは待機児童が減らない要因について説明した後で、次のように言う。

怒りましょう。僕たちは怒って良い。予算配分は不当だし、このままだと少子化も進行し社会保障も危機になり、それは将来、可愛い我が子たちの生活を直撃するでしょう。

そして怒りを原動力に、行動しましょう。
まず、政府に対しては、保育士給与引き上げのための、予算増額の世論を高めることです。

駒崎さんのエントリにはところどころ「?」と思う部分(例えば「子ども子育て新制度」は本当に「待機児童問題にガチで取り組みますよ、という方策」になっているか?とか、自治体の職員が「評価」を気にして園を増やしたがらないなんてことはそんなにあることなんだろうか?とか)もあるものの、概ね同意である。

その上で、国や自治体だけでなく、企業に対してももっとみんな怒るべきなんじゃないかと思う(もちろん最も怒りたいのは国なんだけどさ)。

自治体の子育てに関するニーズ調査の自由記述欄とか見てると、「始業時間に間に合わないから保育園の開園時間を早くしてほしい」「夏休みの学童保育の開所時間が遅く、子どもが後に出かけなければならず心配だから開所時間を早くしてほしい」「以前住んでいた自治体では◯時まで預かってくれていたのに、◯◯市は延長保育の時間が短い」などの意見が結構目につく(福岡市でも今年度から学校が休みの日の学童の開所時間が早まった)。

でも、保育園や学童保育の預かり時間長くしたら、そこで働く人はそれだけ早く出てこないといけなかったり、遅くまで仕事しないといけなくなる。そうすると、小さな子どもとか親の介護がある人は働きにくくなる。だからといって、早朝や夜間の仕事が独身や子どものいない人にばかり回されると、その人たちの負担が大きくなる。結局それが保育士の離職に拍車をかけることにつながる。

だから、長期休みの間は遅く出勤してもいいとか、そもそも残業なくすとか、もっと職場がやるべきなんだよ、本来は。少子化の解決には女性への支援策だけではだめだ、男性の働き方が変わらないとだめだって流れからの「ワーク・ライフ・バランス」だったり「働き方の見直し」だったのが、いつのまにか「女性活躍」「一億総活躍」に取って代わられてすっかりトーンダウンしてしまったし。

ちなみに福岡では最近WLBがらみで結構取り上げられる拓新産業という会社がある。昔、合同説明会で学生がほとんど来てくれなかったという経験から、選ばれる会社になるために、残業なしをはじめ、いろんな取り組みをしているという。建設機材のリースをしているので、土曜も事務所を開ける必要がある(建設業は土曜休まないところが多いので)けど社員は休ませたい。で、小さい子どもがいる人を除いた社員が交代で月に1日だけ土曜に出勤するようにして、そのかわりに同じ週の水曜に休んでもらうなど、一部の人に負担がかからないようにしているそうだ。取引先にも「うちはこういう会社だ」ということを伝え続けて、「無理な依頼を続ける企業とは取引を断念することもあったが、 徐々に同社の営業スタイルに協力してくれる顧客を増やしていくことに成功」*1したという。本気でやればできることは見つかるってことだと思うんよね。

今の日本は政労使あげて少子化進めようとしてるようにも見えるよね。