何のための食育か

食育関連で調べものをしていて見つけたページ。
小浜市の食育について
もうね、気持ち悪いんですよ。特に右上の「参考資料」が。一体何のための食育なんですか?「市民が地元の食材を楽しく料理し、おいしく食べ、健康で豊かな生活ができるよう」にじゃないんですか?それなのになぜ学業成績をもち出すんですか?「ちゃんと朝食を食べないと(食べさせないと)成績が悪くなるぞ〜、キレる子どもになるぞ〜」と脅しをかけられて、果たして「おいしく食べ、健康で豊かな生活ができ」ますか?ていうか、朝食を食べれば成績が上がるんですか?(これって単なる疑似相関でしょ?)「おいしく食べ、健康で豊かな生活ができ」れば成績が悪くったっていいんじゃないですか?(成績が悪いのは貧しい生活ですか、そうですか。)
まあね、具体的な取り組みを見ればそんなにひどいことやってるわけではない気もするし、別に小浜市だけではなくて他でも似たようなこといってるんだろう。私自身だって、朝食を食べるとか、バランスのいい食事をするとか、好き嫌いなく食べるとかは、できないよりできた方がいいと思う。でもね、食と学業だの性モラルだの正義感だのを結びつけて語るってのがやっぱりとんでもなく気持ち悪いんですよ。


ところで東京都教育研究所(H12.4)の「「朝食抜き」は学校でも落ち着きがなく、キレやすい。 」っていう調査結果が気になったのでググってみたけどみつからなかった。代わりに『保健医療科学 第54巻』の小林正子『「キレる」に関する中高年の生活状況調査からの検討』 という論文がみつかったので目を通してみました。
うーん、これ検定かけてないよなあ。まあランダムサンプリングじゃないし、サンプル数が大きいから検定かけてもある程度有意になるのかもしれない。でもね、例えば「睡眠時間との関係」なんかは「0〜1時間」は9人、「12〜13時間」は18人しかいないんではないかという気がするんで(そもそも平日の睡眠時間「0〜1時間」「2〜3時間」ってありえるのか(もし本当ならむしろそっちの方が問題ではあるまいか)とか、1時間半寝る人はどうなってるんだ、とか細かい部分も気にはなるのですが)、その部分を外して考えるとあんまり大きな違いはないようにも見えたり。
ていうか、この調査で決定的に問題だと思うのがですね、まず「キレる」の捉え方が回答者によって異なること、「キレる」を軽い意味で使うものほど「キレる」頻度が高いと回答している(そりゃそうだろう)ことを示しているわけですよ。それなのに「あなたはキレる(た)ことがありますか?」という質問に対する答えをもとに「キレる頻度が高い、低い」という話をしている。「キレる」という言葉で意味するところが違うのに、その頻度を云々してなにか意味があるんでしょうか?
あ、ちなみにこの調査によると朝食を食べない子は一番「キレずに我慢する」率が高いらしい。ということは我慢強い子どもに育てるには朝食を抜けばいいのかしらん。


近いうちに『スーパーモーニング』でも欠食児童の問題を取り上げるようです(mpackで「小中学生のいる家族で、子どもと一緒に朝食をとれない人」の募集があっていました)。