「広げよう結婚の夢」ですと

今日、福岡県の女性センター(今は男女共同参画推進センターになってますが)のライブラリーであるチラシを手に入れた。
福岡県が「結婚への夢・あこがれ・素晴らしさ」を伝える作品の募集を行うらしい。これは福岡県の少子化対策の一環で、昨年策定された福岡県次世代育成支援行動計画のなかの「新たな出会い応援事業」の一つとして位置づけられるようだ。


チラシはこちらでみることができます(pdfファイル)。


上のファイルではやや分かりにくいかもしれませんが、男性のシャツは緑の洗濯バサミで、女性のシャツは赤い洗濯バサミで留められるという、ジェンダーカラー(?)による男女の色分けがここでも行われとります。「そんな細かいことを」と思う方がいらっしゃるかもしれませんが、私としてはむしろこんな細かいところでまで色分けせずにおられないその感覚の方が不思議。まあチラシのデザインはたぶんコンペで決められたのだろうとは思うので、県の担当課の直接の意向ということではないのでしょうが。
さらに(少子化対策の一環なのである意味当然ではあるけれども)、結婚がテーマなのに子供用のシャツが男女のシャツの間に。別にできちゃった婚を推奨しているわけではなく(否定もしていないだろうけど、というより、ある意味歓迎しているのかもしれないけれど)、重点は結婚自体ではなくて結婚して子どもを産めってことにあるわけだ。少子化対策ならいっそ10枚ぐらい干しときゃいいのに、という気もしますが、まあデザイン的にとか、スペースの都合とかあるのでしょう。ていうか、(子どもを増やすという意味での)少子化対策なら「結婚の夢」とかいわずに「子づくりの夢」とかストレートにいっちゃえばいいのに。ていうかていうか、「結婚」を前提としている時点でなんだかなと思う。本気で出生率を上げたいならもっと抜本的なところを変えていかないとダメなんじゃないの、と。


まあでも、福岡県がこんな事業をやろうとも、こんなチラシを作ろうとも今さら驚きもしないのですが(住民としては腹立たしくはあるけれど)、今回一番引っかかったのは、このチラシが女性センターのライブラリーカウンターの一番目立つところにデデデンと置いてあったことだ。このチラシ、というか事業が念頭に置いている「結婚」とは法律婚であろうし、子どもをもつ夫婦だろう。そういう限定的な結婚観、家族観を扱うことに対しては、女性センターは慎重であってほしい(実際には「男女共同参画」が一部そういう家族観を内包してしまっている現実はあるとしても)。まあ女性センターを運営しているのは県の外郭団体だし、(常勤の)職員の多くは県からの出向だから、県との関係上という面もあるのだろう。けれども、私が知っている以前の職員さんだったら「えええー、これホントに置くのー?」という反応が出たんではないかと思う。それがこんなに目立つところに堂々と置かれていると、そんな躊躇すらなかったのではないかと心配になってしまうのだ(もしかしたら、県が「目立つところに置け」と強く要請したのかもしれないけれど)。


ところでこの事業、「子どもは持たずにずっと2人で暮らすのが理想!」とか「事実婚が絶対いい!」とか、そんな作品が大量に来たらどうするんだろうか。いや、そんなことは起きないだろうけど、例えばの話。