夫婦同姓は家族を崩壊させる!

そんなわけで、ここ2日ほどニュースとか他の方々のブログとかチェックしきれていないので、最近ほんのりと気になっていたことについて。


夫婦別姓に反対する人が反対する理由としてしばしば口にするのが「家族の一体感を損ねる」とか「家族が崩壊する」というものです。例えばこちら。このブログにもたびたび登場していただいている山谷えり子さんも櫻井よし子さんとの対談の中でこのように言っています。

「姓名はその個人に固有のもの」と、姓を家族と切り離している記述はそのあと、「孫は祖母を家族と考えない場合もあるだろう。犬や猫のペットを大切な家族の一員と考える人もいる」と続きます。家庭科なのか家庭崩壊科なのか分からない。そういう考え方の中での夫婦別姓論は問題です。

しかし、ここで疑問です。現在日本では夫婦同姓制ですから、2組の祖父母*1のうち1組は孫とは異なる姓になります*2。そして、日本ではだいたい97%程度のカップルが夫の姓にしているので、多くの場合、母方の祖父母と孫の姓は異なっていると思われます。とすると・・・。
姓が異なっていることが家族の一体感を損なわせるという前提に立つのであれば、生まれたときから姓が違う(多くは)母方の祖父母を家族だと認識しない孫がいても何ら不思議ではない、むしろ一つの家族は一つの姓を名のるべきだと考えるのならば姓の異なる祖父母を家族と認識しないのは当たり前です。孫だけではありません。結婚して姓を変えた人(多くは娘)にとって、自分の実家の両親はもはや家族ではありません。だって姓が違うんだもん。ならば、夫婦の一方に強制的に親との絆を断たせ、孫と祖父母とが一体感を育むことを阻害する夫婦同姓は、家族を崩壊させる家族解体運動の一環といえましょう。
あ。もしかしたら「嫁(婿)は嫁ぎ先(婿入り先)の人間になるもので実家の家の人間でなくなるのは当たり前。孫も嫁ぎ先のもの」ということなのでしょうか。そして上の山谷さんの発言も、そのような考えにもとづき「祖母=父方の祖母」だけを念頭においておられるのかもしれません。しかし、山谷さんは国会でこのようにも言っておられます。

これは、「婚姻届は出しません」というのは民法第七百三十九条違反、「別々に暮らしています」というのは同七百五十二条違反、「夫婦別姓にします」は同七百五十条違反なんでございますが、

このような解釈自体ゲヒョヒョッと笑いたくもなるのですが、それはおいといて、「嫁は嫁ぎ先のもの」という考えは憲法第24条違反ですね。

第24条 婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。

こんなに法律に厳しい国会議員であらせられる山谷さんが憲法に反することをおっしゃるとも思えない(え?)ので、やはり「嫁は嫁ぎ先のもの」なんてお考えはお持ちでないのでしょう。山谷さん自身、お父上への思い入れは深いようですし。
さあ、祖母は家族? 家族じゃない? どっち???

*1:実際にはもっといろんなケースがあると思いますが、単純化して考えます

*2:同姓の人同士が婚姻届を出す場合もあるでしょうが、割合としてはそれほど多くないと思うのでここではひとまず無視させていただきます