必死ですね(追記あり)

 ▼中学卒業までの1人当たりの支給額は、月1万3000円、来年度からは倍になる。高校授業料無償化とともに、子育て世代にとっては大変な朗報だ。一方で、財源のないばらまきは、借金を子供に押しつけるだけ、との批判も根強い。場合によって、外国人が受け取れ、日本人が受け取れない問題点も浮かんできた。
 ▼「もう奨学金は必要ないだろう」。親を亡くした学生を支援する「あしなが育英会」の募金活動に対して、こんな声も寄せられているそうだ。子ども手当の原点には、社会も子育てに責任を持つとの考え方があったはずなのに。

あしなが育英会〜」のくだりの意味が???だったので、誰がこんなこと言ってるんだと思い検索してみました。すると元ネタらしいものが見つかるには見つかったのですが…。

不況の影響や、新型インフルエンザの流行で街角に立つ学生ボランティアが激減したことに加え、政権が掲げる公立高校の授業料無償化の報道で、「民主党がやるから募金は不要になる」という誤解が広がったことも背景にあるようだ(2009年11月22日付「中日春秋」)

逆風は、新政権が来年度から実施する高校授業料の無償化だ。街角で募金への協力を呼び掛ける遺児らに、「民主党がやってくれるから、そんなことしなくていい」と声をかける人がいたという(2009年11月19日付「斜面」)

さて、産経抄中日新聞信濃毎日新聞、あしなが募金を不要視する声がある、という点ではよく似ていますが、決定的に違う点がありますね。そう、下2つは「高校無償化」の影響によるものとしているのに対し、産経抄だけが「子ども手当」の文脈で語っています。
あしなが奨学金は高校以上を対象にしていますから、「高校無償化」を受けて上のような声が出てくるのは不思議ではありません(進学に当たって必要なのは授業料だけではないのでまったく同意はしませんが)。しかし、「子ども手当」が支給されるのは中学までですから、あしなが奨学金とは直接関わりがありません。「子ども手当を貯蓄して高校以降に使え」などと言い出す人がいないとは言えないかもしれませんが、そんな物言いに対しては「助け合いの精神が失われる」などと心配せずに「それは筋違いです」と言ってやればいいことです。

「高校無償化」と「子ども手当」の区別がついていないのか、「子ども手当」というか民主党の政策を批判したいがためにあえて話をすり替えたのか分かりませんが、仮にも全国紙を名乗るのなら(まあ一応九州での販売も始めたようですが)もう少し慎重になってもいいんじゃないでしょうか。

それから、「場合によって、外国人が受け取れ、日本人が受け取れない問題点も浮かんできた」ということですが、これは「(子どもではなく)親がどこに住んでいるかによって日本に住んでいるのにもらえない子どもが出てくる」という問題であって、国籍云々の問題ではないような気がするのですが、産経的には日本人かどうかが大事なんでしょうかね。

それでは産経に習ってあえて「子ども手当」と「高校無償化」を混同してみますが、産経が「無償化の対象からはずせ」と主張している朝鮮学校に通う生徒のうち、2〜3%は日本国籍(追記:これは記憶違いで朝鮮学校全体で見ると日本国籍の生徒はもうちょっと少ないようです。が、日本国籍の生徒がいることは変わりません)。これは「問題点」ではないのでしょうか。