所詮被害者に関心なんかないのよね

「もっと働け、クズ」 東京都に男性被害のDV被害相談続々(MSN産経ニュース)

主に配偶者からの暴力「ドメスティック・バイオレンス」(DV)を受けた女性からの相談を受け付けている「東京ウィメンズプラザ」(渋谷区)窓口に、男性からの被害相談が23件(平成18年度)寄せられていることが27日、分かった。殴られて骨折するなど、女性のDV被害に劣らぬ相談も。今や女性は社会的地位だけでなく“腕力”でも男性に勝り始めているようだ。
 都の出先機関東京ウィメンズプラザなどによると、18年度に同施設相談窓口に寄せられたDV相談件数は4956件。このうち、女性の被害相談件数が4828件と圧倒的に多いものの、男性の被害相談件数も23件あった。
 被害男性の相談内容は「『もっと働け、クズ』などと言葉による暴力を受けた」のほか、「殴られて肋骨(ろっこつ)を折った」「熱湯をかけられた」などの身体的暴力を訴えるケースもあったという。
 女性が被害にあった場合、都が、自宅とは別の施設に一時保護するなどの対応をとるが、男性の場合は同様の施設は整備されていない。
 都は「相談内容を分析しながら、男性被害者に対する具体的な対応を検討していきたい」と話している。

男性被害のDV被害。パイポパイポパイポシューリンガン
23/4956件を「続々」と表現するのもどうかとは思うが、「DV被害者=女性」と思われがちな中で少数とはいえ相談が寄せられているということはそれなりに注目されてよいとは思う(といっても、以前から男女共同参画に関する各種調査等で身体的暴力を含むDVを受けた男性がいることは明らかになっているわけだけど)。
しかし、「骨折した」「熱湯をかけられた」などの深刻な被害事例を前にしながらも、産経は「今や女性は社会的地位だけでなく“腕力”でも男性に勝り始めているようだ」とあくまで茶化しモード。「殴られて骨折するなど、女性のDV被害に劣らぬ相談も」と書いているのだから、DV被害に深刻な身体的暴力が含まれることは認識しているだろうにも関わらず、だ。だいたい「劣らぬ」とかそういう問題かと。
しかも、言葉の暴力の事例を直前で紹介しておきながら、DVを「腕力」の問題に還元している。まあカッコつきなので本気で腕力「だけ」の問題と思っているわけではないのだろうけど、そのように表現することでDV被害を受けている男性を「女に腕力で負けるヤツ」であるかのようにみせてしまっている。さらにいえば「社会的地位だけでなく」との表現は、女性の社会進出が男性へのDVの原因とでも言いたげな感じだ。ここで社会的地位云々はまったく不要だし、そもそも23/4956件で「今や〜勝り始めている」て。
産経的には反男女共同参画を煽るのに格好のネタと思ったのかもしれないけど、こんな風に男性のDV被害を茶化し矮小化することこそ男性差別的だと思うんだけど。