そんなニュースはいりません

安藤美姫選手の出産報道について、呆れる事態となっている。

そんななか、朝日新聞「きょうの番組」欄の「記者レビュー」コーナー。

「大スクープ、でも…」との見出しに何かいや〜なものを感じて思わず読んでしまった。そしたら案の定。

ただ、気になったことが一つ。赤ちゃんの父親は誰? インタビューでは一切触れられなかった。スタジオの古館伊知郎キャスターが、話を聞いた宮嶋泰子アナウンサーに「結婚は?」と尋ねた時も、「時期については相手と話し合う」とだけ。言えないのだとしても、せめて安藤選手の口から直接、説明の言葉を引き出してほしかった。それがニュースとしてのあり方では。

たぶんだけど、今回のインタビューでは事前に父親のことは話さないという合意がなされたからこそ安藤選手はカメラの前で話をしたのだろうと思うし、テレ朝の関係者がそれを了承したことが独占スクープにつながったのだろうと思う。

ところが、このコラムを書いた記者は、決してインタビューの本題とは思えない父親の存在について語らせることがニュースのあり方だとしている。きっと同じような使命感に燃える一部の記者が、「関係者の自宅に深夜にいたるまで電話をかけ続けるなど、常軌を逸した取材」をしているんだろう。

今回の独占インタビューに関しては、宮嶋アナウンサーの存在、つまり安藤選手と宮嶋アナウンサーへとの間に信頼関係が築けていたことがが大きかったのだろうということが、関係の記事やテレビ朝日社長の会見等から示唆されている。そんな信頼関係を築く努力をするどころか、相手のプライバシーに踏み込んで下世話な覗き見主義に応えることがニュースのあり方なんて、記者として能力が低いとしか。


つーか、引用した部分の前にある「日本特有の見えないプレッシャーについて考えさせられた」って、何をどう考えたんですかね。それを具体的な言葉にするのが記者の仕事じゃないんですかね。「考えさせられた」なんて、学生レポートのNGワードの筆頭だろうがよ。