「婚学」とやらについて

九大での「婚学」については、やはり地元なのでいろいろ目にしたり耳にしたりする機会は多いし、気になるところはあったんだけれけれども、個人的には、佐藤氏が「結婚についてはこれまで学問的に考察されることがあまり無かった」てなことを言ったというのを聞いたか見たか(ラジオだっかかも)して、「こりゃ(本格的に)ダメだ」と思った記憶が。「家族社会学」と100回唱えてくださいよ、と。

九大のシラバスを見ても、「?」と思うところが。

少子化が進んでいるためだ。
女性1人が生涯に産む子どもの推定人数「合計特殊出生率」は2010年に1.39。
ただし、夫婦の平均出生子ども数(完結出生児数)は、
30年間にわたって2.2人前後で安定して推移。
つまり、この間の合計特殊出生率の低下は、
晩婚化と未婚化の進展によるものだ。

実際には2.2前後で安定していたのは1970年代から2000年代始めまで。その後は完結出生児数は下がり(もうずいぶん前から「夫婦の出生力の低下」として指摘されている)、2010年には1.96になっている。

その他、「その一方で、離婚率、できちゃった婚率も高まっている」とある。まあ、これについては「いつと比べて」とは明示されていないので細かいツッコミにはなってしまうのだが、この10年程度は 離婚率はやや低下、できちゃった結婚は横ばい傾向である。

この「婚学」に関して私が特に気になっていたのは、DVについてどんなふうに扱ってるんだろうということ。んで検索してみたら、社会人ゲストとして参加した人がブログに書いていた。

佐藤先生が「みんなは自分の育った家庭が“普通”だと思っているよね?でも、実際は違うかも。グループで自分の育った家庭についてディスカッションしよう」と言われて、グループで自分の両親について話す事から始まります。
話してみると、本当に人それぞれで、「うちと同じ」ところもあったり「全然違う」ところもあったり。でもみんな自分が育った環境が普通だと思っているんですよね。

これ、学生の中にDV家庭で育った人がいるかもってこと、想定してるんだろうか? 具体的にどんなことを話したのかは分からないのであれなんだけど、DVがテーマなんだから、両親の関係性について話すんだよね。そのとき、DV家庭で育った人は、みんなの前でそのことを発表することになるの? DVについては隠して当たり障り無く切り抜けるかもしれないけれど、隠すにしても話すにしても、すごい心理的負荷がかかりそうなんだけど、大丈夫なの、これ。

別に若い人が結婚や将来について話し合う場があってももちろんいいと思う。でも、やっぱり大学で「学」を冠してやるもんじゃないと思うわ、これは。
あ、ちなみに佐藤氏のブログの「妊娠と性感染症と避妊と」というエントリで、女子大での授業の際に中絶や避妊について大学で聞いたことが無いという学生の反応を受けて、「婚学を「大学で教えるべきコトじゃない」なんて批判する人がいるけど、現実はこうなんだよ。」と書いてあるけど、「婚学=妊娠・性感染症・避妊」なの? その女子大ではやってなかったかもしれないけど、ジェンダー論なんかの授業でその手の話してる人は結構いると思うよ。 ていうか、私「婚学」の授業は受けたこと無いけど、20年ほど前に大学の「ヒューマンセクソロジー」の授業でしっかり避妊や妊娠や中絶や性感染症や性暴力やなんやかやについて学びましたよ。なんかこの方、「自分が知らない=誰もやってない」な人なんかな。