橋本聖子の子育て観

twitter等で話題になっていた、自民党参議院議員中川雅治公式ホームページに掲載されている橋本聖子、義家弘介との鼎談「日本再生とは教育再生のことです」がハフィントンポストでも取り上げられていた。

4ページにわたって掲載されている発言録の3ページ目の中川氏の発言が問題になっている。例えばこんな風である。

同級生を脱がして、皆でお腹やおちんちんに赤いマジックで落書きしたりしました。やられた方は怒っていましたが、回りはこれをいじめだと思っていませんでしたね。今なら完全ないじめになり、ノイローゼになったりするケースもあるのかなあと思います。いじめられている方も弱くなっているという側面はありませんか。

6年前(2009年)のものであるとはいえ、トップページからリンクが貼られていることから、本人の認識は現在も変わっていないのであろう。こんないじめた側の視点でしか語れない人物が現役の議員であり、教育について偉そうに語っているのだから恐ろしいことだ(とはいえ、HPの「私の主張」の中に教育に関する項目はほぼ皆無だし、国会での議事録を見ても教育に関する質問はほとんどなく、特に教育問題への関心が高いとは思えないのだが)。

ところで、なにげなくクリックした4ページ目の橋本聖子の子育てに関する発言もひどいものだった。

中川 究極の少子化対策はありませんか。これぞ決定版といったような。

橋本 正直実現にハードルは高いですが、それに近いものは考えられます。
例えばゼロ歳児はすごく手がかかります。ゼロ歳児の面倒を見るのは雇用も全て考えると、1年間でいくらお金がかかるのか。大体1人二百数十万円かかります。それだったら、その分お母さんにあげた方がずっと良いのではないでしょうか。
極端な話かもしれませんが、「3歳になるまでお母さんが必ず育てて下さい」という政策の方が私は確実に効果がでると思います。「その間仕事しなくてもちゃんと補償してあげますよ。その代わり我が子を一生懸命に育てて、子どもにいろいろなことを伝えて下さい」とします。きっと日本は根底から変わると思いますよ。もっと産みたいと考えるでしょう。

基本的には山谷えり子や下村博文と同じ考え方だが、山谷は0歳児保育につき50〜60万円かかる、下村は(極端な話)年700万円かかると発言しているので、額にはかなりの開きがある。3年間毎年700万円保証してくれるなら子育てに専念してもいいと思う人はいるだろうが、年200数十万円で3年間キャリアを中断しようという人はどれほどいるだろうか。しかも「3歳になるまで」ということであれば、第2子、第3子を持てばそれだけキャリアの中断期間は長くなる。その間の雇用契約はどうなるのか。また、専業主婦はどうするのか、フルタイムとパートの間で差は設けるのか。「実現にハードルが高い」と発言していることから現実的な案だとは思っておらず、そのため細部については考えていないのかもしれないが、それならば「確実に効果が出る」などと軽々しくいうのもやめてほしいわ。

しかも、山谷、下村両氏と同じく、ここでも対象とされているのは(働かずに子育てに専念しろと言われているのは)母親のみである。私が最初に就職した時の上司は出産でパートナーを亡くしたシングルファザーであったが、そのような人たちのことは考えているのだろうか。

この一番大切な3年間、半分以上のお母さん達が子どもと一緒にいないというのは、親にとっても損失です。せっかく母親になれたのに、母親としての仕事ができないということは、人間にとって将来にとって不幸だと思います。

保育園に預けて仕事をしているからといって、子育ての(母親としての、とはあえて言わない)仕事が0になるわけではないことぐらい、実際に子育てを経験したのであれば分かりそうなものだが。

橋本聖子2020年東京オリンピックパラリンピック組織委員会理事も務めているとのことであるが、女性アスリートの妊娠・出産・子育てと競技との両立がようやく日本でも話題になり始めた昨今、「母親は3年間子育てに専念しろ!」なんてのは日本のスポーツ界においてもマイナスでしかないと思うわけで、適性を疑うレベルなんだが。

もちろんこれらの発言は6年前のものではあるが、2009年っていったらすでに国が「ワーク・ライフ・バランス」とか「男性の働き方の見直し」とかいい出して数年経ってる頃だからね!