またもやとくダネの話

朝たまたまテレビをつけたらやっていた話題が気になったので。特にヲチしてるわけではないです。
数日前にtwitter等で流れていたこの話が取り上げられていたのだが。

観ていてなんか違和感があるな〜と思っていたら、どうもグレンくんが自閉症であるということが紹介されていないようだ。途中からテレビをつけたので、最初に言及があったのかとも思ったが、twitter検索してみた感じではやはり言ってなかったっぽい(「友達に何したの」とか「人徳がないのか」てなことをつぶやいている人がいたので)。

実際のところ、どうしてクラスメイトの誰も参加しなかった(どころか返事もなかったとのことだが)のか、本当のところはわからない。でも、グレンくんのお母さんが「それから障害の子供をもつ全てのお母さん方へ“My only advice is don't give up”」と言っているということなので、少なくともグレンくんのお母さんは、グレンくんの障害(というかそれに対する差別、偏見)が一因だと感じているんだろうに、その情報を無視する理由が分からないよ。

セクハラへの認識は

朝、たまたまフジテレビの「とくダネ」をつけていたら、海遊館のセクハラ裁判について取り上げていた。
いつものごとくながら見だったので、よく聞こえなかったりちゃんと覚えてないとこもろあるんだけど。

海遊館の件に加え、それ以外の加害者が処分されたりした事例をいくつか紹介した後に、小倉智昭「こうなってくると何話していいかわからなくなるね〜」「俺が怜ちゃんに言ってることなんて…」、菊川怜「(紹介されていた賠償額の)2億円もらえますね(笑)」みたいなやりとりが。

「浮気相手との性生活を話題にしたり、『俺の性欲は年々増すねん』『夜の仕事とかしたらええやん』などの発言を繰り返した」(日本経済新聞)り、妊娠5ヶ月の女性社員に「妊娠5ヶ月の女性とセックスするのが夢だったんだ」(紹介されていた事例)などと言うことができないと、何を話していいかわからないようなら、もう永遠に黙ってればいいんじゃなかろうか。

さらに、画面右上には「うっかり発言が命取り」とのキャプションが。うっかりなの? ねえ、うっかりなの? 

ついでに読売新聞は「『結婚もせんで』で懲戒処分、最高裁が『有効』」との見出し。記事内容は「『結婚もせんでこんな所で何してんの。親泣くで』『もうお局つぼねさんやで。怖がられてるんちゃうん』などの発言を繰り返した。露骨に性的な表現を使った卑わいな言葉もあり、うち女性1人は派遣会社を辞めて職場を去った」なのに「『結婚もせんで』処分」じゃないだろうよ。

「女性活躍」予算が1000億円の増?

先日発表された2015年度予算案についての毎日新聞の記事

安倍政権が成長戦略の柱と位置付ける「女性の活躍推進」について、2015年度予算案の総額は前年度当初比1000億円増の9000億円となった。安倍晋三首相は昨年末の衆院選で、17年度末までに「約40万人分の保育の受け皿を確保する」と約束。待機児童解消に向け、15年度は▽保育所運営のための施設型給付▽保育所の整備・改修▽小規模施設に対する地域型保育給付−−などに7023億円を配分し、新たに約8万人分を確保する。

ニュースを受けて、ウェブ上では「女にばっかり金を使うな」的なコメントもみられる。
だがちょっと待ってほしい。保育所の整備や待機児童の解消は別に母親だけに関係することではない。保育所に預けられないから働けないという女性が多いことは事実だとしても、保育所の恩恵を受けるのは父親だって同じだし、安心して預けられる環境を整えるのは子どもの権利を守るためにも必要だ。それなのに、それを「女性の活躍推進」と表現するのはいかがなものか。そして、9000億円の予算のうち、この保育サービスや学童保育に関する部分が8割近くを占めているのだ。

他の項目だってそうだ。

女性の貧困対策としては、生活困窮者の相談支援や就労支援を行う自立支援に400億円を盛り込んだ。

 さらに働く女性の2人に1人が非正規労働者である現状を踏まえ、正社員への昇格を希望する女性らを支援する「正社員実現加速プロジェクト」として321億円を計上。勤務地・職種を限定して正社員に採用する制度を新たに導入した企業や、非正規から正規への転換を進める企業を助成する「キャリアアップ助成金」の拡充などにあてる。

財務省のサイトでは何が「女性活躍」にあたるのかがわかる資料を見つけられなかったので、厚生労働省の「平成27年度予算概算要求の概要」を確認してみたが、当然のことながら、生活困窮者の自立支援も「正社員実現加速プロジェクト」も「キャリアアップ助成金」も、別に女性だけが対象になっているわけじゃない。女性「も」対象になるというだけの話である。

さて、これだけで約85%。内閣府の「平成27年度予算概算要求の概要」も見てみると、「女性の活躍、少子化対策、暮らしと社会等」の要求額が約1100億円強。うち、「子ども・子育て支援新制度」関連が1000億円超。「男女共同参画社会の実現・共生社会の形成等」の総額は40億円強だが、あげられてる項目の中で直接男女共同参画に関連しそうなものは7億円強。

予算の見方についてよく知らないので間違いもあるかもしれないけれど、「女性活躍」関連予算の大半は保育関連であり、また、性別に関わりなく利用できる制度も多く含まれていることは間違いない。

ところで、予算に関する資料を見て今後が非常に心配になったのが、「男女共同参画社会の実現」が「女性の活躍」の下位項目になってしまっていること。また、厚生労働省の方でも、「女性の活躍推進と少子化対策」の中に妊娠・出産支援や女性の健康が入ってしまっている。そこにはDVやリプロを「人権」の問題として捉える視点はない。「女性活躍推進法」が作られてしまったら、本当に男女共同参画社会基本法は骨抜きにされてしまうかもしれんね。

最後に、内閣府資料の「女性の活躍、少子化対策、暮らしと社会等」のリード文がとても味わい深かったのでご紹介。

少子化対策・子ども若者育成支援施策の総合的な推進をはじめ、男女共同参画社会 の形成、高齢社会対策、障害者施策、交通安全対策、食育、犯罪被害者等施策、自殺対策、子供の貧困対策、アルコール健康障害対策、定住外国人施策の推進等、我が国 の直面する社会的課題の変化に対応し、自立と共助の精神に基づく社会の形成を図る。

このごった煮感。このやっつけ感。文章の体をなしてねーわ。

「お母さんは大変」からの…?

もうすでにあちこちで話題になっているサイボウズのCM。

先日公開された第2弾をみた感想は、やはり肩すかしというかなんというか、「え、それ?」みたいな。
人にもよるんだろうけど、自分の場合は子育てでいっぱいいっぱいの時に夫がギューとかしてきたら、「子供の世話で大変な時に大人の世話までしてられっか!」と怒髪天をついてしまいそうである。

育児中のお母さんの大変さを伝えたいということなのかもしれないけれども、やっぱり「ママにしかできないこと」って表現はおかしいよね。実際にやってるパパだっているわけだし、斗比主さんが書いていたように、「ママばかりがやっていること」だったらまた違った反応があっただろうに。

それに味の素のCMの時も思ったんだけど、子育てに関して「お母さんは大変」なのが多くの場合の現状だとしても、それを強調しすぎるのが問題だと思うのは、そこから「そんな大変なことをやってるお母さんは素晴らしい!」に安易に向かってしまうことがあること。「お母さんは大変」だと思うなら、お母さんがもっと楽になる方法を考えることとセットでないと、「大変」「すごい」「えらい」だけじゃ結局それが固定化されてしまうだけじゃないかしらん。
CMの中で西田尚美が「優しい言葉一つで頑張れちゃうんだよねー」って言ってるけど、「いやそこで頑張らせちゃダメだろう!」って。いや、頑張らなきゃいけない時もたくさんあるけど、そしたら延々と頑張り続けなきゃいけないじゃんって。


話は変わるようですが、私が最近非常に脱力した福岡市の男女共同参画センターの企画がこれ。

「妻のチャレンジ」ってのは再就職のことのようですが、チラシにでかでかと書かれているのが「どうする?妻の再就職。俺の晩飯!」。
「就職を希望する妻とその夫」が対象で、1回目の講座(ワークショップ?)は夫婦で参加、2回目の講座(料理教室「男の愛情フレンチが我が家を救う」)は夫のみ参加。そしてそのメニューが「ズワイガニとアボカドのタルタル/若鶏とかぶのクリーム煮/マドレーヌショコラ」だと…? これが「俺の晩飯」…? すごく「週末に金と時間と手間かけてつくる『男の料理』」臭がするのは気のせいだろうか。
「共働き家族の笑顔を支える愛情メニュー」より、「30分で2品、3品つくれるメニュー」の方がよっぽど共働き家庭を救うよ。結局これも「平日の家事は妻任せで、週末は夫が腕をふるって妻の息抜きタイムを」的な考えなんじゃないのかなーって。でも、料理しつけてない夫の料理よりも、外食の方が息抜きになりそうだよな。
まあね、肉野菜炒めじゃ参加者が集まらないのかもしれないけどね。これが市民グループ企画の講座ではなく、センター主催なのが悲しいよ。しかも、1回目の講座の講師の方は、お二人とも「婚学普及協会」の理事さんのようでorz。

「わたしたちの道徳」再び

実在しない江戸しぐさが記載された道徳の教科書のPDFが波紋を広げる

文部科学省の道徳副読本「わたしたちの道徳」高学年用に「江戸しぐさ」が載っていることが最近また話題になっていたので、「他にも頭を抱えたくなるようなことがいっぱいありますよ!」ということで、改めて紹介しておきますね。

ちなみにうちの子の小学校(というかたぶん福岡市の小学校)では、12月の人権週間に合わせて人権授業の参観があって、その後の懇談会でも担任の先生から保護者に人権に関連する話をすることになっている。んで、先生が話の後で「なにか人権や道徳の授業について質問ないですか」と言われたので、せっかくだから「新しい道徳の副読本を読んでみたところ、ちょっと問題かなと思うようなところもあったのですが、今後学校ではこれをメインで使っていくととかそういう方針みたいなのはあるんですか?」と質問してみた(今回の授業では使ってない)。
先生からの回答はまあ、「教材選びは難しいですよね〜」という感じで使うとも使わないとも特に決まってない感じだったけど、とりあえず内容に問題を感じているということを控えめにでも伝えておくのが目的だったのでいいのだ。

しかし、福岡では大学の職員研修に江戸しぐさが進出しているようで。

「そのうち大学等で江戸しぐさが教えられる日が来たりしてな!」と思ったりしたけど、検索してみたらもしかしてすでにある?

・・・いま世の中に蔓延しているカタカナ言葉は、時々上っ面の理解に終わってしまい実践につながらないことがあります。温故知新、(江戸しぐさ)を学び(平成しぐさ)を一緒に考えて行きましょう。・・・キャリア開発科目の中のビジネスマナーの時間で。

発表は、ゼミで学んでいる「江戸しぐさを広めるために何に取り組み、どのように成長したか」がテーマ。

あと、大学の授業じゃないけど、大学が一般市民向けに実施してる公開講座はたくさんヒットしたよ! 

我が家に『わたしたちの道徳』がやってきたよ!

以前のエントリで高学年用を取り上げた文部科学省の道徳教材『私たちの道徳』。上の子に聞いてみたところ教室には置いてあるけれども持って帰る予定はないとのこと。
しかし、先日下の子が低学年用を持ち帰ってきた。どうやら一人1冊配布された模様。高学年用で疲れて低学年用はちゃんと見ていなかったので、この機会にパラパラとめくってみた。

また『心のノート』とひとつひとつ比較していくのはくたびれるので、めくっていて少しひっかかった分だけ確認。結果、ひとまずは下の3点。

こころのノート48〜49ページに、「ありがとうをさがそう」というタイトルのイラストがある。黄色いニコニコしたキャラが「ありがとう」で、それがどんな場面であるか考えさせようというものらしい。
一方、わたしたちの道徳82〜83ページのイラストも趣旨は同じだが、こころ〜ではキャラや動物で描かれていた町の人々がすべて人のイラストになり、その結果として人物の性別がこころ〜よりも明確になっている。そしてそれらの人物の性別を確認してみると、職業を持っている人は全員男性、家事をしていたり子どもを連れている人は、横断中の人物(少年?)を除いて全員女性として描かれているようだ。こころ〜でも服装から判断する限りその傾向はあったものの、キャラ部分については男女どちらとも見ることができる余地があったのだが、わたし〜では性別役割分担が明確化されてしまった。

さらに、続くページの「ありがとうカードを送ろう」というところにもそれは現れていて、こころ〜では「ありがとうカード」を送る相手の例として6年生が出ていたのが、わたし〜では「お母さんへ いつもごはんの用意をしてくれて、ありがとう。 お母さんが 作ってくれるおみそしるは、とてもおいしいです」ときたもんだ。ちなみに「おかあさん おいしいごはん ありがとう」とか「おかあさん おいしい料理 ありがとう」とかは、親守詩の上の句の定番みたいっすね。以前某所で展示されてた親守詩作品のほとんどがそんな上の句だったもの(たぶん見本がそんなんだったんだろう)。

それと、こころ〜82ページわたし〜140〜141ページの家族に関する部分。こころ〜では「お父さんが 帰ってきた。 とてもつかれた顔を していたので、 ぼくが、『かた、たたいてあげようか。』と言うと、にこっと わらった」「はじめて おるす番を しました。わたしは、弟がないてしまったらどうしようと思いました。でも、お母さんには、『いってらっしゃい。』と、にこにこして 言いました。」と、かろうじて仕事とも私用での外出とも受け取れる内容だった。
わたし〜では「お父さんが、しごとから帰ってきました。お父さんは、つかれた顔をしていたので」「お母さんは、いそがしそうに夕はんのしたくをしています。」と、ここでも「お父さん=仕事、お母さん=家事」である。

というわけで、高学年用ほどのインパクトはないし、低学年用はこころ〜もわたし〜もポエム感が強くて正直どっちもどっちなんだけど、安倍・下村的ジェンダー観がずいぶんと反映された内容になった点が注目だね!

女性活躍と活力朝礼

先日、動画が話題になっていたとある小学校の朝礼。それを実施していた先生が福岡市の教員だという。地域的にその先生がうちの子の小学校に来る可能性は低そうだけれども、教職員研修とかを通して影響が及んだりしませんように(「素手で便所掃除」や「親守詩」は一部の先生たちが傾倒しているっぽいし)。
ところで件の動画をみた時、「てっぺん」とか「居酒屋甲子園」をよく知らなかった私は「活力朝礼みたいだな」と思っていた。そしたらその後、「てっぺん」の朝礼は活力朝礼の一種であるとの記事を書いている人がいて納得。

この活力朝礼をいつどのように知ったかはよく覚えていないのだが、その「ヤバさ」を個人的に身近な問題として感じたのは、福岡県の女性活躍で最近よく取り上げられているある企業のブログで活力朝礼が取り上げられていたのを読んでから。
女性活躍に関するフォーラムで先進事例として報告をしたり、経済産業省ダイバーシティ100選にも選定されているその企業。ある時ブログを読んでいると、「活力朝礼コンクール」を取り入れ、次回はコンクールに参加もするという記事があり、さらに今回の動画をみて久しぶりにブログを訪れてみると、「活力朝礼コンクールで優勝しました」との報告が。
そういえば、会社案内の社長あいさつで「宇宙」「自他一如」なんて言葉が出てくるところとか、「感動」が多用されてるところもひっかかってたなーとか。倫理法人会に影響された結果なのか、もともと引き合うものがあった結果なのかは分からないけれども。

んで、「女性活躍」「活力朝礼」で検索してみたら、他にもいくつかヒットした。

もちろん、数多ある企業の中のごくごく一部でしかないのだけど、近年「活躍」「いきいき」「輝く」なんてタームが乱発されてる男女共同参画界隈との親和性は案外高いのかもと思ったり。