フェミニズム=男女平等?

id:kmizusawaさんのエントリを読んで、というか、はてブコメントやそれについて言及したサイトを読んで感じたこと。
ネット上ではこれまでも「フェミニズムは男女平等といいながら、女の権利を拡張することしか考えていない」という批判をよく目にしてきた。まあ一番見た記憶があるのは「フェミニストはレディースデイや女性専用車両で女性が優遇されていることに対しては何も言わない」というようなものだけど。女性専用車両についてはそもそも導入された経緯として、痴漢被害者の多くが女性であり、また加害者の多くが男性である、ということがある。もちろん、それ以外のケースについても配慮は必要だと思うし、女性専用車両を導入したからといって解決される問題でもない*1。レディースデイ等については個人的にその恩恵にあずかることが少ない*2ので(たいてい水曜日とかだし)何とも言い難いが、メンズデイもつくれ、とかレディースデイを廃止しろ、という主張はどんどんすればいい。ただ、そういう主張はやはり男性自身がやった方がいいとは思うけど。
ただ、上のような物言いに対して違和感を覚えてしまうのは、果たして「フェミニズム=男女平等」なんだろうか、ということが私の頭にあるからだ。もちろん、そういうイメージがあるのも知っているし、男女平等がお題目として唱えられてきたこともあるんだろうけど、フェミニズムの主張には「女性解放」や「女性差別撤廃」というものあったはずだ。というか、「フェミニズム」の訳語として「女権拡張主義」とか「女性解放主義」というのは聞くけど、「男女平等主義」というのはあまり聞いたことがない。ちなみに「女権拡張主義」というのは第1波フェミニズムに対して使われることが多く、第2派以降のフェミニズムについては「女性解放」の言葉が当てられることが多いように思う。もちろんフェミニズム運動の中で法的な平等や均等な待遇も求められてきたわけだけれど、それはあくまでも一面であり、フェミニズムの主張の中心(特に第2派以降の)っていうのはやはり「女性解放」や「女性差別撤廃」なんじゃないかと思う。女性運動の中で「男女平等」っていう言葉がどの程度、あるいはどのように使われてきたのかは一度ちゃんと確認してみる必要があるなと思ってる。
あと、たぶんもう一つの違和感の理由。「フェミニズムは男女平等というくせに…」という人は、じゃあ女性差別の問題について声を上げることがどの程度あるのか,と疑問に思ってしまう点。たとえばDVの問題や前回のエントリで書いた痴漢冤罪の問題なんかで男性の被害者性が主張される場合、「女性の被害も問題だが男性も被害者である」というよりは女性の被害を矮小化しようという傾向がみられる気がする*3。もちろんフェミニズム批判に徹する、という方向性もアリだけど、そうであるならば「フェミニズムは男女平等というくせに…」という言い方はあんまり説得力を感じないし、フェミニズム批判を目的とするのではない限り、「差別撤廃」を訴えていった方がいいんではないか、とはやっぱり思う。

*1:特にそういう意味で女性専用者虜に批判的なフェミニストは少なくないと思う。ただ、次善の策として仕方ない、と考えているだけで

*2:例えば居酒屋での「女性客のみデザートサービス」みたいなのは「いらん世話」と思ってしまう(酒飲みなので)

*3:これは全体的な傾向に対する個人的な印象なので、ちゃんと主張している!という人ももちろんいると思うけど